日時
2002年6月30日(日)14:00開演 (13:30開場)

会場
イシハラホール

入場料
1,000円

画像をクリックして拡大してください。

レポート(子安一男 記)

昨年初めての定期演奏会が好評であったことを受けて、その直後から今日の「第2回」を目指して練習を始めた。「第1回」よりも充実したものにしたいと、指揮者を3人体制にし、練習日数も増やして研鑚を重ねてきた。
この日はまだ梅雨の最中で、朝から雲行きが怪しい。10時前に全員が集まり、リハーサル室で朝の声出しから始める。その後ステージで各曲の通しの練習を行い、さらに13時前からもう一度直前の練習をして本番に備えた。
この直前の練習で青山さんは「ドイツミサ」の母音の発音が何度も指摘しているのにまだ深みがなく汚いと強く注意し、思いきって ソット・ヴォーチェ (声をおさえて)で歌うようにと指示した。これが本番の演奏に重要な影響を与えることになった。

14時開演。客席は満席に近い。最初は青山さんの指揮で清水脩の作品6曲を披露した。このステージだけはアカペラで歌う。声もしっかり出て、それぞれの曲想の違いを出すことが出来た。滑り出しは順調である。
第2ステージは岡田さん指揮でヴェルディのオペラ合唱曲4曲。昨日の練習あたりから歌詞がかなりよく読めるようになって、それほど不安はない。しかし1年間イタリア語と格闘し、高音域に挑戦してきた成果がこの1回のステージで出せるか。
本番はそんな心配を吹き飛ばした。歌詞も無難に読め、岡田さんが要求した表現もほぼ出来た。武知さんの見事なピアノ伴奏にのって歌を楽しみ、しばし気持ちよくヴェルディのオペラの世界に浸ることが出来た。

後半の第4ステージ、青山さん指揮の「ドイツミサ」は直前の練習での指摘もあって、幾分緊張感を持って歌い出した。ここでソット・ヴォーチェで歌うことが意外な効果を生み出した。ドイツ語の発音が引き締まり、声がよく響き、音程も安定する。
エレクトーンの伴奏も面白い効果を生み、シューベルトの曲の美しさを見事に表現できた。青山さんはドイツ語の歌い方のヒントを得たと述べ、観客は口々にこの演奏は素晴らしかったと称えてくれた。
最後の第5ステージは中川さん指揮の「永訣の朝」。ANCORの会の時の感動を再現できるか。今日も滑り出しから順調に進む。我々にとって手慣れた曲になったという想いがする。後半の盛り上がりも申し分なく、静かに余韻を残して曲を閉じた。

観客の反応はANCORよりも更に良かったというものと、今日は少し力が入りすぎていたというものがあったが、演奏会の最後を飾る曲として観客の期待に十分応えることが出来た。
アンコールは中川さんの指揮で室生犀星作詩、磯部俶作曲の「ふるさと」を、中川さんが自ら客席に曲の説明をして歌った。終わって指揮を中川さんから桂さんに交替し、今年も定番の「Muss i denn 」で締めくくった。

こうして第2回の定期演奏会は第1回を上回る成果を出すことができた。
よく考えられたプログラムで充実した演奏会であった、曲ごとに声をうまく使い分け、声のコントロールが上手であった、といった感想が聞かれ、特に後半のステージが素晴らしかったという反応が多かった。
エレクトーンを含め3ステージ掛け持ちの活躍で演奏を支えてくれたピアニストの武知さんには、そのテクニックの素晴らしさに感激したという賛辞が寄せられた。
第3ステージの賛助出演のルナ・バロック弦楽合奏団も去年を上回る演奏を披露し、演奏会に色取りを添えてもらった。

東京から大野、待山、奥村、渕山、村田の5氏が参加され、去年から始まった東京支部との交流を確かなものにすることが出来た。
現役の阪大男声からも数名がステージの応援のほかステージマネージャと受付け係を手伝って演奏会を支えてくれた。
入場者数は、補助席を含めて定員300名に対し、283名であった。

終演後、近くの「徐園」で出演者、関係者が集まって盛大に打上げを催し、山口さんの軽妙な司会で、今日の成功を喜び合った。気分が盛り上がったところで愛唱歌が何曲か飛び出し、皆んなで楽しんだ一日の最後を飾った。

フォトギャラリー