■2006年7月2日(日)14:00開演 ■ドーンセンター

■出演者
指揮 青山令道、萩原宏明、和田宏一 ピアノ 武知朋子
T1 太田、名迫、岡田、辻、山口、内田、*西口、#中村、#三木 9名
T2 子安、岩崎、木村、糟谷、細谷、藤本、*野上、*高橋、#越野、#山本 10名
B1 近藤、橋本、今村、田口、桝田、片桐、山田、T大野、T藤山、T奥村、T渕山、#近野、#津国 13名
B2 桂、大島、青山、三瀬、田嶋、佐々木、菅原、T待山、T甲和、#五島、#西尾 11名
T印‐東京メンバー、*印‐現役、#印‐客員 合計 43名

■報告(子安一男)
大阪男声の定期演奏会は今年第6回を迎えた。
7月2日(日)、大手前のドーンセンターで14時に開演。梅雨の最中で雨になる予報が出ていたが、晴れ間も出るほどの好天になった。
今まで大阪男声は指揮者、団員とも阪大男声OBで構成していたが、今回は助っ人として各パートに2人づつ若手のプロの歌手を入れ、漸減してきた人数を補うとともに、より高度な演奏を目指すこととし、指揮者も青山さんの他に、ボイストレーナーの萩原寛明さんと和田宏一さんにお願いした。5月に行われたANCORの会で、この構成で萩原さんの指揮で1曲歌って、団員は無理をせずに歌え、助っ人の輝かしい響きに支えられて見事な演奏が出来たので、今日も期待がかかる。

日頃同じ曲を練習している東京支部から6人の参加があり、現役も3人が応援してくれて、総勢で40人を超すステージが実現した。
開演時には客席の大部分が埋まり、アナウンスの声で第1ステージが始まる。和田さんの指揮で北原白秋作詞、多田武彦作曲の「柳河風俗詩」を歌う。男声合唱曲の古典ともなり、よく歌われてきた曲であるが、本気で取り組むとかなり難しいところもあり、みっちり練習を積んできた。その成果があって、声がよく揃い、曲の情感をたっぷりと表現できた。テナーソロはエキストラの三木秀信さんに歌ってもらった。

第2ステージは萩原さんの指揮でANCORで演奏した三好達治作詞、木下牧子作曲の「Enfance finie」。萩原さんの的確な棒さばきと武知さんの流麗なピアノ伴奏に、一度歌っている自信も加わって、木下節とも云われるきれいな旋律と繊細な和音をANCORを上まわる出来で歌い上げた。

休憩の後、第3ステージは特別出演で、昨年のショパンコンクールで日本人で最高の第4位に入賞された関本昌平さんのピアノ独奏である。
バッハとショパンの曲が弾かれ、きらびやかで透明感のある美しい音と強烈なダイナミズムで客席は圧倒されてしまった。アンコールでリストとショパンの2曲が加わり、しばし至福の時間が与えられた。

最後のステージは青山令道さんの指揮で、ウィンナーワルツの「美しく青きドナウ」と「ウィーンの森の物語」である。「ドナウ」は第1回も去年も演奏した当団のおはこであり、力まず、手馴れた感じで演奏できた。テナーの二重唱は団員の辻さんと山口さんが初めて受け持ち、よく透る声で歌って大阪男声の底力を見せた。「ウィーンの森の物語」も楽しいメロディーにあふれた名曲で、その男声合唱版はお客さんを喜ばせた。練習では歌詞を読みこなすのに多大のエネルギーを注がねばならなかったが、原曲でツィターが奏でる叙情的な部分をエキストラ8人による四重唱にして、トゥッティとの対比をつくる工夫も加えて盛り上げた。

プログラムが終わり、ひときわ高い拍手に応えて、モーツァルトの「魔笛」から「僧侶の合唱」とザラストロのアリア「おヽイシス、オシリスよ」を、バリトン歌手である萩原さんのソロと合唱でプレゼントした。萩原さんの重厚で荘重な声は客席に深い感銘を与えた。そして最後は恒例のお別れの曲、桂さんの指揮による「Muss i denn」で、今年はエキストラを加えた分厚いハーモニーで聴かせた。

初めての試みであった外部の専門家を入れての演奏会は、それだけ質の高い演奏を提供することが出来て、お客様に喜ばれただけでなく、団員にとってもいい勉強の機会となり、そのような環境で歌えることに新たな喜びを感じたのであった。

客数は420名余りで、定員の8割を超え、年々漸増しており、関本さん出演の効果があったかもしれないが、これまでの最高を記録した。
大阪男声の人気が定着してきた様相が見られ、今後も前向きの活動を続けて、お客様の期待に応えていかなければならないとの思いを強くした。
今年も阪大男声の現役から3名がステージに出た他、8名がステージマネージャーや受付係の裏方の仕事で演奏会を支えて、OBとの交流に貢献してくれたことに感謝の意を表したい。