■日時 2003年1月18日(土)17:30 開演

■場所 NHK大阪ホール

■第Ⅳステージ(現役とOBの合同演奏)

男声合唱曲「永訣の朝」 宮沢賢治作詩・鈴木憲夫作曲  指揮 本城正博  piano 熊谷啓子

《作曲者 鈴木憲夫さんからメッセージ》

大阪男声団員各位

新緑が目に眩しい侯となって参りました。CDお送り下さりありがとうございました。
重厚で格調高い演奏ありがとうございました。
以前(改訂版初演)も素晴らしい演奏をしてくださいましたが、此の度も名演ですね。
皆さんの層の厚さと、そして熱の高さを感じます。
先日も混声版の指揮をし、私の女声合唱団でもこの曲を指揮していますが、男声版のこの“永訣の朝”がズシッと心に沁みます。勿論皆さんの演奏が素晴らしい故だと思いますいが、男声合唱の魅力を今更乍ら知らされた思いです。
指揮の本城さま、合唱団の皆様にどうぞ宜しくお伝え下さい。
取り急ぎ乱筆乍ら御礼まで。

2003.6.6 鈴木憲夫

■記念撮影

フォトギャラリー

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メッセージ

★桂 豊
(OB会名誉会長、第50回記念定期演奏会アンコール曲”Muss i denn”指揮者)

 

第1回演奏会の思い出

 昭和26年12月に産声を挙げた阪大男声は1年経っとメンバーも40人を超え、次第にハーモニーが充実し、レパートリーも増えて参りました。
 それまで関西合唱連盟の合唱祭や合唱コンクールには出演していましたが、自分たちのリサイタルをやりたいとの意欲が高まってきたので、昭和28年6月15日に平野町のガスビル講演場で初めて演奏会を開催することになりました。600人ほどのホールですが、音響は素晴らしかったのを覚えています。
6ステージで構成しましたが、当時阪大音響科学研究所助教授で関西オペラでも活躍されていた北村音一先生にシューベルトを歌っていただくとともに、伴奏の横田新子先生にもショパンをお願いしました。男声合唱はジルヘル、クロイツェルなどドイツ系作曲者の作品で3ステージ、最後にシューベルトのドイツミサ曲、すべてドイツ語、無伴奏です。アンコールには今も団歌のように歌い継がれているライン編曲の別れ(ムスイデン)、指揮は4ステージとも私が担当しました。

桂 豊 (OB会名誉会長、初代指揮者)

(プログラムパンフレット「50回記念ページ」より)

★青山令道
(OB会会長)

 50周年記念定期演奏会は、OB会としてここ2~3年間取り組んできた、50周年事業の一番大きなイベントであり、今回の成功はOB会として大変良かった。
第50回を記念しての委嘱曲の完成が残っています。作曲者は、完成が遅れたことについて、謝っておられるが、これはいずれ演奏の予定。3月末には完成の見込みです。
 今回の50回記念定演の合同演奏は「永訣の朝」となりましたが、そのため、かえって参加人員が増え、150名もの参加となったことは、奇跡的であり、また、色んな意味で勉強にもなりました。
 もう一つの、「50年史の編纂」は9月末に完成の予定です。
 また、OB会の大切な行事として、現役の応援も大いに実施しています。昨年度の新入生を勧誘するために、約20万円を提供し、この結果、21名もの新入生を入団させることが出来、大いに貢献しました。
 これからも、もっとOBが参加してやれることもあると思うので、もう少し整理して、考えて行きたい。
 今まで2年間、会長を務めましたが、これらの課題を十分、議論して整理し、OB会の活動をますます盛んにして、後2年間くらいで、次の世代に繋いで行きたいと思っています。
 OB会の皆さんには、大いにご協力頂き、有り難うございます。今後も、ご協力、よろしくお願いいたします。

(OB会会報2003年冬号より)

撮影 山田雅朗

本城正博
(第50回記念定期演奏会 合同ステジ指揮者)

 

 

演奏会を終えて

第50回記念定期演奏会、ごくろうさまでした。合同ステージは皆さんの努力により、感動的な音楽を創ることが出来ました。 50年の阪大男声で育った仲間によるすばらしい演奏でした。お互い、感謝し、喜び合いたいと思います。
私にとっても、記憶に残る感動的なステージになりました。とても楽しく振らせて頂きました。感謝致します。
今回のイベントが、今後もっと気軽に、気楽に、現役とOBとが交流できるステージの きっかけになればいいのでは、と思っています。双方ともプラスの効果が期待できると思いますので。
最後に、曲創りを手伝って頂きました大阪男声合唱団指揮者の中川さん、東京支部の甲和さん、現役指揮者の傘谷さん、米澤さん、そして事務局の車元さん、子安さんに 感謝致します。
ありがとうございました。

傘谷愛信
(第50回記念定期演奏会 正指揮者)

50回定演正指揮者の傘谷です。
連絡が遅くなりまして申し訳ありません。ようやく日常生活に戻り、メールをお返しする心の余裕も出来ました。
まずはみなさん、本当にお疲れ様でした。
ぼくたちにとっては4回生最後の晴れ舞台を、懐かしい『永訣』で、あんなにたくさんのOBのみなさんと演奏が出来て、最高であったと思います。
本城さん、子安さん、甲和さん、中川さんをはじめ御尽力頂いたOBのみなさまには お礼をしてもしきれない気持ちです。
本番、演奏中はぜんぜん涙が出てこなかったのですが、演奏終了後の長い余韻に、本城先生の満足げな表情に『あぁ、やってよかったなぁ』と涙腺がゆるみました。

昨日、部室を訪問して青ブレザーを返却してきました。これは来年の新入生へとうけつがれることになります。始めて袖を通したときは違和感もあったものですが…。
花束と差し入れでいっぱいの部屋に帰ってきたときに、ものすごく 寂しい気持ちになりましたが、僕には来年も再来年も歌がありますので いつまでも阪大男声を故郷としつつがんばっていけるような気がします。55周年はまたいっしょに歌いましょう。75周年はぜひ僕に振らせて下さいね。(もちろん中川さんが先ですが)夏頃には大阪男声にもまたお邪魔すると思います。

今週末の卒団式をもって新参者のOBとなりますが、来年はともに現役の活動をもりたてていけたらいいと思います。
それでは、OBのみなみなさまによろしくお伝えください。
本当に、おつかれさまでした!

演奏会報告

子安一男

2003年1月18日、明け方降っていた雨はやみ、午後には日が差して気温も 高まってきた。ここに阪大男声第50回記念定期演奏会の日を迎えた。
OB会では50周年記念事業の一つとして現役との合同演奏を企画して、第25回定期演奏会の指揮者であった本城正博さんに指揮をお願いし、曲は宮澤賢治作詩、鈴木憲夫作曲の「永訣の朝」を選んで、6回現役と 合同練習を行ってこの日に望んだ。
OBの参加者は102名になり、現役49名と合わせて150名を超えるステージ になった。阪大男声は「永訣の朝」を91年にジョイントコンサートで改訂初演 して以来、95年と99年に定演で演奏しているので、ここ10年余りに卒団 したOBは全員が一度は歌っていて、この世代が参加者の半数を占めた。
会場はオープンして1年余りの真新しいNHK大阪ホール。出演するOBの面々 は13時に集合し、OBだけの練習に入った。東京など遠方から参加したOBも20数名あり、出演者全員が揃って練習するのはこれが初めてになる。
本城さんから「お客さんに感動を伝えられる上質の音楽を作ろう」と呼び掛け があり、「永訣の朝」のポイントになるところをチェックした後1回通した。
続いて桂さんの指揮でアンコール曲の「Muss i denn」を練習し、全員が歌い慣れた曲であるが、今までの練習で指摘された点を再度確認した。
アンコールで現役が歌うことになっていた「斎太郎節」を急遽OBも一緒に 歌うことになり、中川知哉さんが指揮して1回歌ってみた。若手のOBは ほとんど暗譜で歌える。
15時から現役と合流して、合同演奏曲のステージ練習を行う。ホールは 内装に木の部分が多く、落ちついた雰囲気で、本城さんから、よく響くので歌詞を立ててめりはりをつけないとぼやけると注意があった。演奏はうまくいって、本番に十分期待が持てる状態になった。
17時30分に開演。合同演奏はミュージカルの後の第4ステージで、現役の諸君は急いで衣装を着替え、OBと同じ黒いスーツに黒の蝶ネクタイに替えた。
150人のOBと現役が交互に整然とステージに並ぶ。
本城さんの腕が振り下ろされ「永訣の朝」が始まった。特に大切だといわれていた歌い出しは緊張感を持って入ることが出来た。曲が進むにつれて、本城さんのタクトに乗って自信に満ちた声が出てくる。賢治の詩が歌う者にも染み込んで、更に気持ちが高揚して行く。美しい声と、大人数の迫力が会場を揺るがす。
何と素晴らしい演奏ができたことか。人数の迫力もさることながら、美しく、たっぷりと、幅のある表現が出来て、この曲を、賢治の詩を、見事に昇華させた。
阪大男声50年の歴史がここに凝縮され、この高みにまで到達したのである。
観客にも多大の感銘を与えた。終わって賞賛の拍手は長く続き、本城さんとピアノ伴奏の熊谷啓子さんは何度もステージに呼び戻される。歌詞が良く聴き取れて、賢治が詩にこめた想いが迫力ある演奏に乗って観客の心に強く響き、涙を流して聴き入った方も少なからずあったということである。
この後もう1ステージ現役の合唱があってアンコールとなり、OBは再びステージ に上がった。まず技術顧問の浅井敬壹さんの指揮で「斎太郎節」を元気よく歌う。
最後は浅井さんのインタビューに応えてOB会名誉会長の桂さんが阪大男声創立の頃の話をしてから、全員で「Muss i denn」を高らかに歌い、感動に満ちたこの記念演奏会の幕を閉じた。