■2003年7月13日(日)14:00開演
■ドーンセンター

■出演者
T1 竹村、名迫、岡田、角辻、辻、中川、山崎            7名
T2 子安、岩崎、中村、細谷、藤本、内田、吉原、米森        8名
B1 近藤、橋本、今村、上南、田口、桝田、片桐、前川、松岡、山田 10名
B2 桂、大島、中野、青山、岡林、三瀬、佐々木、傘谷        8名
合計 33名

■報告(子安一男)

今年の梅雨はよく雨が降り、7月13日(日)も朝から大阪の街を濡らしている。
この日、大阪男声合唱団は第3回定期演奏会を初めて大手前のドーンセンターで開催した。午前10時には出演者全員が集まり、館内の視聴覚スタジオで事前の練習に入った。東京支部から松岡不識さんが初参加され、阪大男声の現役からは吉岡君、米森君の2名が応援してくれた。ほかに現役の7名がステージマネージャーと受付係として手助けしてくれた。
11時半からステージ練習になり、新しいホールの感触を確かめる。このホールもよく響き歌いやすい。中川さんから客席の後に声を飛ばすつもりで発声するようにと指示があり、ざっと演奏曲目を通した。
14時、開演を知らせる臼村治子さんのアナウンスに導かれて、黒のスーツに黒の蝶ネクタイでステージに整列した。3回目ともなるとステージに出たときの緊張感を気持ちよく受けとめ、客席を見まわす余裕も出る。

第1ステージは青山令道さんの指揮で『ドイツ合唱曲』を5曲、アカペラで歌う。第1曲の「Wasserhahrt」はピアニッシモで出るので緊張を要した。進むにつれて緊張感は和らぎ、やがてフォルテに達する。ひとたび調子に乗れば順調に進む。5曲とも昨日までの練習の状態よりもかなりよく歌えた。5曲目の「Die Allmacht」の難航していた箇所も無事通過できた。
第2ステージは我々のヴォイストレーナーの萩原寛明さんが賛助出演で、ベートーベンの歌曲『An die ferne Geliebte』を歌い(ピアノ武知朋子)、素晴らしいバリトンソロで観客の賞賛を集めた。大きな拍手にブラボーの声もかかった。これでこの演奏会がぐっと引き締まったという感想も聞かれた。
休憩の後、第3ステージは気分を変えるために上着を脱ぎ、白シャツで揃えて青山さんが指揮する『梁塵秘抄』の4曲を歌った。追い込みの練習がきいて、意外にさらりと歌えたが、音に注意が集中していて少し表現が淡白であったか。ピアノ伴奏の川合桃子さんにはきれいな音で歌に彩りを添えてもらった。曲が終わったところで、ご招待していた作曲者の青山政雄さんにスポットライトを当てて場内に紹介し、花束を送呈した。
最後のステージは中川知哉さんの指揮、武知朋子さんのピアノで『マザー・グースのうた』から7曲。5月のANCORの会で一度演奏し、お客さんから楽しかったと好評であったが一層充実した演奏をしたいとステージに臨んだ。第1曲「ゆくゆくあるいて」で疲れてため息をつき、へたり込む者まで出るアクション、第2曲「ミルクよバターに」では山崎祥治朗さんのセリフで笑いが出る。3曲目の「ソロモン・グランディ」は辻輝夫さん、内田裕樹さん、山田雅朗さん、前川洽治さんのクヮルテットの熱唱に加えて、手拍子、踊り、クラッカーなどの即興の騒ぎで盛りあがり拍手が起きる。間奏曲の「ばらはあかい」を挟んで次の「くぎがふそくで」はまたも佐々木泰介さんの発する「突撃」の声を合図に戦場の叫喚が飛び交い、「貴様と俺とは同期の桜~」の歌が低声部から沸き上がって、戦争を皮肉る。6曲目の黒人霊歌風の「ほねとかわのおんながいた」は前川さんのソロが入り、最後の「ゴータムむらの」は映画音楽風にクライマックスを築いて終わった。ANCORの会の時よりもかなり上手く歌えた。パフォーマンスも一層派手に出来て観客を喜ばせた。大阪男声も少々イメチェンが出来たのではないか。
アンコールは中川さんがグリーグの『Ave maris stella』、青山さんがマルシュナーの『Sta(e)ndchen』をやり、最後にやはり桂さんの指揮で『Mess i denn』で締めた。
今年はいささか練習不足の感があり、前日までは心もとない状態であったが、本番では持ち前の底力が出て、面白くて楽しい演奏会であったとお客さんから好評を得た。指揮者から繰り返し出た注意、萩原さんの発声やドイツ語の指導をきっちり受けとめてきたことが本番で力を出せる素地になったと言ってよいだろう。
去年は280席のホールが満席になったので、今年は500席の広い会場に移したのであるが、思ったほどチケットが捌けず、天候も悪くなって入場者数は255名とかろうじて半分の席が埋まった。
演奏会終了後1階のパフォーマンススペースで打ち上げパーティーを開き、竹村雅之さんの司会で演奏会の成功を喜び合った。何人かの来賓の方から本番での盛りあがりを称えるスピーチを頂いた。最後は愛唱歌を数曲歌い、来年を期して散会した。