■2004年7月11日(日)14:00開演 ■ドーンセンター
■出演者 41名
T 1 竹村雅之、名迫行康、 岡田伸太郎、角辻豊、辻輝夫、
中川知哉、山崎祥治朗、神谷和宏、
T 2 子安一男、木村正通、中村準、細谷正純、藤本好司、
内田祐樹、米森謙一郎、吉原晃右、脇貴裕、丸尾亮太、
B 1 近藤毅、*大野尭、橋本聰一、今村陽一、田口孝人、
桝田征也、*松岡不識、山田雅朗、浦本大明、岸本知之、
野中聰洋、
B 2 桂豊、*待山仁雄、大島恵介、中野洋介、青山令道、
三瀬高司、田嶋克彦、佐々木泰介、*甲和伸樹、傘谷愛信、
高橋和也、池田智尋、
*印 東京メンバー
■報告(竹村雅之)
大阪男声合唱団は昨年に引き続き、今年も7月11日(日)、大阪・大手前・ドーンセンターで第4回・定期演奏会を開催した。
当日は参議院選挙の投票日。しかし、暑いながらも好天に恵まれ、入場者数は前年を上回り、300人を越える聴衆にご来場頂けた。因みに昨年255名、今年は308名。
さて、我々団員は10時に楽屋集合、10時15分から声出し、練習に移った。11時半からはステージに移って、更に事前の総仕上げに取り組んだ。
昨年と同じく13時30分開場で、14時開演。今年はアナウンサーが以前の臼村さんから新人の上田紫布さんに交代。
団員一同、舞台の上手(低声系)、下手(高声系)の二手に分かれ、緊張の内に、それぞれの袖から舞台に進み出て整列した。
今年の第1ステージは、創立50周年記念演奏会で現役・阪大男声を指揮した傘谷愛信が当・大阪男声の副指揮者としてのデビュー、伴奏者はおなじみの武知朋子さんのピアノにより、山之井 愼/田中 清光作詞、佐藤 眞作曲の男声合唱組曲「旅」を演奏した。
この曲は、①旅立つ日②村の小径で③旅のよろこび④なぎさ歩めば⑤かごにのって⑥旅のあとに⑦行こうふたたび、の7曲の組曲で構成されている。
各曲の演奏の前に、歌詞の要約を7名の団員が朗読するという、趣向をこらした演出となった。別々の団員による朗読は、それぞれの個性が発揮され、高い声で朗読するもの、低い声で朗読するもの、標準語のもの、関西弁のもの、朗読ではなく「暗記」して語るもの、実にバラエテイーに富んだ楽しいステージとなった。
それぞれの曲は、ひとり旅をする若者の目に映るさまざまな風景と、心の軌跡をロマンテイックに表現された曲で構成されており、親しみやすい、歌いやすい曲であった。
第2ステージは、当合唱団伝統の無伴奏のドイツ合唱曲である。
現役時代に歌ったレパートリーの中から、今年は①Grab und Mond(墓と月)(Schubert 作曲)②True Liebe (まことの愛)(Kücken 作曲)③Schäfer’s Sonntagslied (羊飼いの日曜日)(Kreutzer 作曲)④Genügsamkeit (無欲)(シレジア民謡)⑤Hymne an die Musik (音楽への讃歌)(Lachner 作曲) の5曲を青山令道の指揮で歌った。
ドイツ合唱曲は、学生時代に歌い慣れているとは言え、ベテラン団員の中には、40年前、50年前のことであった者も多数いる。実際には 練習時に、特別に外部から招聘した萩原寛明氏(前回、ドイツ・リートで賛助出演)から、本場のドイツ・リートとしての読み方や、ドイツ歌曲としての歌い方を厳しく指導を受けている。(この点は、当団としての一大特徴と言える)
最初のGrab und Mond は、Schubert の持ち味である正統派にして重厚な響きを十分に表現出来たと感じられたし、Treue Liebe では2番に辻 輝夫のテナー・ソロを入れる構成とし、全体として、当団の伝統的音楽を聴衆のみなさんに伝えられたと思っている。
インターミッションの後、第3ステージは特別出演の「ROSCO」の登場である。
「ROSCO 」は ピアノの大須賀かおりさん、ヴァイオリンの甲斐史子さんのデユオ。現代音楽を得意とする、新進気鋭の二人で、青山音楽財団のバロックザール賞、第12回朝日現代音楽賞を受賞されるとともに、コンクールにおいても優勝するなど、注目を集めている。(詳細はプログラム参照)
本日の演奏曲目は①Stravinsky 作曲、「ヴァイオリンとピアノのためのDuo Concerto 」全5楽章のなかから三つの楽章②Xenakis 作曲{Dikhthas」であった。
Stravinsky はご承知の通り、現代音楽の大作曲家であり、その作風は、つとに周知の通りである。
Duoの二人は、Stravinsky の緊張感あふれる和声と、大胆なリズムで構成される現代音楽的世界を、几帳面とも言える正確さで表現された。
続いてのXenakis 作曲の「Dikhthas]、この作曲家はわが国においては、ほとんど未知の作曲家であるが、まず、この作曲家の作品を、自分たちのレパートリーとして取り込まれた「ROSCO」の大胆な選択に驚かされる。
Xenakis は数学、建築学においても専門家であり、その作品は、緻密な楽想を、丁寧に積み上げられたものと感じられた。二人は、この難解な音楽を、確実なテクニックと正確さのなかにも自在な楽想のやりとりで、緊張感あふれるステージを形成された。大変、立派なステージであった。
続いての第4ステージは中川知哉の指揮するシベリウス男声合唱曲(無伴奏)である。曲目は①Till havs ②Kuutamolla ③Terve Kuu ④Uusmaalaisten laulu ⑤Finlandia-hymni の5曲である。
この5曲は、さる5月30日に開催された「第24回 五つのOB合唱団の集い」で、わが大阪男声が演奏した曲である。
日頃、あまりなじみのないフィンランド語、スエーデン語に加えて、ドイツ曲、日本曲等ではあまり使われない和音、あるいは、4分の9拍子や、2分の2拍子から4分の6拍子への移行と言った不慣れなリズム、これらは、日頃の練習において、われわれ団員を大いに苦しめた。事実、ANCOR のステージでは、この苦手意識が一つの障害となったことは否めない。
ところが、一度、ステージで歌った経験を経ると、不思議なことに、難しいと思っていた曲も思い切って演奏できるようになる。
今回のシベリウスは、この典型例であったように思われる。
まさに、「北欧の爽やかな風が会場を吹き抜けた」気分であった。
以上で予定された曲目の演奏はすべて終了したが、聴衆のみなさんからは、暖かい、熱烈な拍手をいただき、アンコールはまず、中川知哉指揮で「見上げてごらん夜の星を」(いずみたく作曲)を演奏、続いて、青山令道指揮で「Sandmännchen」(眠りの精)(ドイツ民謡)は1番はドイツ語で、2番、3番は聴衆の皆さんと共に日本語で歌った。
アンコールの締めくくりは恒例の桂 豊指揮による「Muss i denn 」(シュワーベン民謡)で、盛大な拍手の内に、第4回定演は無事、終了した。
引き続き、ドーンセンター1階のパフォーマンス・スペースで打ち上げ会を開催した。今年の司会は山田雅朗が担当。
青山団長の挨拶に引き続き、桂OB会名誉会長の発声で乾杯、引き続き来賓の挨拶、特別出演の「ROSCO」の二人の感想、このところ毎回ピアノ伴奏を担当の武知朋子さん、陰アナの上田紫布さんと進み、会場は無事終わった安堵感、アルコールやご馳走のおかげで、和やかな雰囲気に包まれ、大いに歓談の輪が広がった。
頃や佳しと、恒例の愛唱歌の合唱へと移り、ますますの盛り上がり、さらにROSCOの甲斐史子さんのヴァイオリン独奏が飛び込み、クライスラー作曲の「愛の喜び」、アンコールに応えてモンティ作曲の「チャールダーシュ」の2曲を、壮大な曲想と力強いテクニックで見事に引ききり、さすが、と皆をうならせた。
さて、以上が今年の第4回定演の一部始終であるが、今回は東京から、大野 尭、待山仁雄、松岡不識、甲和伸樹の4氏に参加頂いた。遠路、わざわざご出演いただき深甚の感謝を捧げる。
一方、若手を中心として多数の新入者を迎え入れることが出来、結果、昨年より多くの出演者を確保する事が出来た。
また、会場ステマネ、受付等諸業務に阪大男声・現役諸君の力をお借りした。お礼申し上げる。
合唱団の運営委員、定演の裏方を担当していただいた定演実行委員のみなさんに、また、ドイツ合唱曲の訳詞を全面的にご担当いただいた大野 尭氏に、深甚の謝意を捧げたい。
最後になったが、これまで、OB会HPを担当され、定期演奏会ではチラシ、プログラムの作成など、デザイン面も含めて一手に担当して頂いていた糟谷慶作氏が、残念にも体調を崩され、入院のやむなきに至っていた。幸い、最近、退院されたが、同氏の一日も早い回復ならびに復帰を祈るものである。
なお、今回の定演にもOB会の皆さんには、多数、聞きに来ていただいた。
来年も第5回定期演奏会を開催する予定となっている。OB会のみなさんの一層のご協力をお願いしたい。